PICOとの出会い

 

H10年3月22日

夫の新作のCD-ROMに録音するため、小鳥店に、

鳴き声の可愛いカナリアがいるかどうか尋ねてみた。

店主、少し笑いながら、はいはい、おりまっせ。今も鳴いてます。

と、受話器を小鳥たちの方へ向けた様子。

実際どんな鳴き声か知らないので、どれがカナリアの声かわからなかったが、

元気良く、いろんな小鳥たちがさえずっている。

良く鳴くのは、鳴きロ−ラ−カナリアというらしい。

夕方だったので、明日の朝、見せてもらいます。と言ったら、

さすが小鳥店、営業は、朝6時半から夕方6時までとのこと。

小鳥たちに生活を合わせているらしい。

人のよさそうな店主の顔が目に浮かぶ。

 

H10年3月23日

とても朝一番には、行けなかったのですが、何とか午前中には、

小鳥店にたどり着くと、思った通り、

人のよさそうな顔の店主がお店の前に立っていました。

どの子が一番良く鳴くか、聞いてみようとしたら、先に、

この子が一番良く鳴いてます。と言われました。

見ると、うすいレモン色で、頭のてっぺんと、首、羽根の先が、すずめ色のぶちでした。

カナリアは黄色いものという固定観念があったので、えっ!!と思いました。

もう一羽、まっ黄色のがいて、そちらにしようかと、じっと2羽を見比べ、

鳴くのを待ちましたが、どちらもあんまり鳴きません。

ようやく、ぶちの方がコロコロと可愛い声で鳴きました。

声を録音するのだから、やはり、店主おすすめのこちらにしておこう。

そう決めて、かごに移してもらうと、黄色の方が、

キイ−キイ−−とあまり可愛くない声で、大声で鳴きました。

やっぱり、こっちにして良かった。

車の助手席に乗り、鳥かごに入れたカナリアを膝の上に抱いてじっと見てみた。

何と可愛いらしい。まだこどものようだ。

車の発進、停止のたびに羽根をばたばたさせる。

トラックの音にも驚いている。

おうちは、もう少しだから待っててね。

 

自分のおかれた環境に、すぐには慣れない様子。

きょときょとして、全く鳴かない。

お部屋の様子をうかがっているみたいに、首をよく回す。

名前を決めて、覚えさせなくちゃ。

今まで、ベランダのすずめたちに、ぴ−ちゃんと名付けて餌を与えていたが、

すずめは、いたずら坊主のようなので、すず坊と呼ぶことにして、

この子をぴ−ちゃんと呼ぶことにした。

お昼に少し鳴いたきり、あんまり鳴かない。

親切な小鳥屋さん、間違えたのかなと、一瞬疑った。

夕方になって、黒い布をかけてやったら、バタバタと暴れて、嫌がった。

よしよし、怖かったね。 今日は、このまま、眠りなさい。

電気を消して、ソファと本棚とカ−テンとで、まわりを囲むようにしてやると、

やっと落ち着き、すうすうと、眠ってしまったみたい。

 

 

H10年3月24日

きのう、お水を全然飲まなかったので、心配したが、今日は良く飲んでいる。

昼間に良く鳴いた。

文字や音では表現できないくらい、美しい。

リズムやメロディもある。

違う種類の小鳥が何匹も鳴いているように、さまざまな鳴き方がある。

他の小鳥の声とは、やはり違う。上品な貴婦人のようだ。

 

H10年3月25日

ぴ−ちゃんと呼ぶと、少し反応するように見える。

青菜を入れると、即座にかじり始めた。

ぴちぴちと音を立てて、大あわてで食べる姿がまた可愛らしい。

RiRiRi(半音上がって)LuLuLu(さらに上がって)Tyurururu〜〜…

文字で書いても、この可愛らしさは表現できないが、

こんな美しい声の生き物は見たことがない。

 

H10年3月26日雨

雨の日は嫌いみたい。

夕方6時頃、ぴ−ちゃんと何度呼んでも知らん顔。

可愛いお目目がしょぼしょぼして、どうやら、おねむの時間らしい。

ここへ来てしばらくは、8時頃まで寝なかったけど、

布をかけても、もう暴れない。

この何日間、あまり熟睡してなかったみたい。

すぐに眠ってしまった。

もう少し姿を見たかったのに、ちょっと残念。

 

H10年3月27日

きょうは、とても元気がいい。

きのうぐっすり眠ったからだろうか。

この家に慣れたのかな。

とてもよく鳴く、いえ、歌うという言葉がぴったりする。

ぴ−ちゃんと呼ぶと、Pyu!と、鳴き方が変わる。

えさを替えるため、鳥かごに手を入れても、全くばたばたしない。

いつか、指の上に止まってくれるだろうか。

首を左右に振ったら、ぴ−ちゃんも合わせて、

止まり木を反復横跳びのように、移動する。

魔法で小さくなれたら、鳥かごの中に入って、一緒に遊ぶのにな。

 

H10年3月28日

朝から美しい声で良く歌う。

カナリアの歌声で目覚める生活が、これほど気分がいいとは。

ぴ−ちゃん、ありがとう。

一週間もたたないうちに、こんなにいとおしく思えるなんて、

これから先、どんなに幸せな気持ちにしてくれるのだろう。

 

H10年3月29日

台所で、水仕事をしていたら、とても良く鳴く。

水の音に反応しているみたい。川のせせらぎだと思っているのだろうか。

水を止めると、ぴたっと鳴きやむ。

ぴ−ちゃん、なんだか、おもちゃのようだね。

可愛くて可愛くて仕方がない。

立ったまま、気をつけの姿勢で眠る姿を見ると、ちょっとかわいそう。

だんだん、首が埋もれて、丸くなった。その姿もまた愛くるしい。

 

H10年3月30日

見ていない時と、側でじっと見ている時と、鳴き方が違う。

見ている時は、甘えている猫の赤ちゃんのようにミャアミャアと鳴く。

誰も見ていない時は、ティ−ティ−ティ−、トゥ−トゥ−トゥ−、トゥルトゥルトウル

と、のどをふくらませ、何度も何度も必死で鳴く。

自分の存在を誇示しているみたい。

青菜をよく食べ、なくなったら、またこの鳴き方で歌う。

下に落ちた青菜は絶対食べない。ぴ−ちゃんは、清潔好きなのね。

鏡を見せたら、驚いて、羽根を広げて、いつもよりさらに大きな声で鳴いた。

僕の方がきれいな声だあ。と言ってるみたい。

勢い余って止まり木からすべり落ちて、おっとっとっと、と、下の止まり木に着地。

孫を見るおばあさんになったような気持ち。甘やかしてしまうかな。

ちょっと、複雑になる。

 

H10年3月31日

ベランダの硝子戸をあけ、何羽ものすずめたちと対面させた。

ふたまわりぐらい大きな、たくさんのすずめたちに少し圧倒されたみたい。

陽差しもぽかぽかあったかく、ぼう−っとして、お疲れさま。

夕食のてんぷらを揚げていると、じゅ−っという油の音に反応する。

負けじと必死に何度も鳴く。

 

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