PICOとの毎日

 

H10年8月 2日

きょうは、私の誕生日。

ストレートパーマをあてに行った。コーティングもしてもらったので、ウエーブヘア

から、サラサラつるつる。

でもいくら綺麗になっても、PICOにはかなわない。

いつもちゃんと誰かにカットしてもらったみたいに、前髪のボンテンがそろって、

羽根はピカピカ、きらきら。とても美しい鳥だ。

 

H10年8月 4日

夕食時、最近はPICOの鳥かごもテーブルの横に置いて一緒に食べている。

食後、友人から電話があり、別の部屋で、居間に背を向ける格好でしゃべっていたら

突然PICOが、MAAMAA〜(マーマー)と鳴いた。

あれっと思い、見ると、夫はシャワーを浴びていて、PICOがぽつんと取り残された

ようになっていたのだ。

電話を切り、あわててPICOの側に寄る。

ごめんね。PICOはまだ食事の団欒が続いていると思ったんだね。

 

H10年8月12日

PICOがカーテンレールに止まっている。こっち向きに飛んで、Uターンをし、

鳥かごの前で羽根だけばたつかせ、一瞬静止した。

かごの入り口は開けている。 自分で入れるかな?

今まで自分でかごから出ることは、何回かあったのだ。

やった〜! 入った。入った。 止まり木にぴょんと乗り、こちらを向いて

えへんえへんと自慢しているように見えた。

 

H10年8月15日

いったん自分で鳥かごに戻ることを覚えてから、PICOの冒険はもう止まらない。

入口をあけておくと、知らない間に出たり入ったりして遊んでいる。

私も夫もPICOから見えないところへ行って、部屋がし〜んとしてしまうと、

かごから出て探しに来る。

不安になるのだろう。とても寂しそうな声で鳴く。

駆け寄ると、どこへ行ってたの?というような顔で、私の頭にちょこんと乗った。

 

H10年8月17日

朝えさを換える時に餌箱を取ろうとすると、

PICOが走り寄って来て、私の指をつんつんとつつく。

指をとってもこわがっていたのに、今ではこうして挑みかかってくる。

新しい青菜を見ると、端にセットする前から首を伸ばして食べ始めた。

食後、いつものようにかごから出してやると、私の手の甲から、とことことこと、

はしごのように肩まで登って、キッキッと鳴く。

PICO。あんまり上まで登ったら、ママ、PICOが見えないよ。

ほっぺをすりすりPICOの羽根にすりつける。

キャッキャッ!

人間の赤ちゃんのように鳴く。PICOは本当にカナリアなんだろうか。

しばらくすると、ひじの方まで降りて来てじっとしている。

はは。お目目がふさがっている。いいよ。ここでお昼寝しなさい。

だいぶ重たくなったね。

 

H10年8月18日

PICO、はいママの頭に乗りなさい、と言ってみたら、ぱたぱたと本当に乗ってきた。

そばで見ていた夫は目を丸くして、うわっすごい!! おまえはカナリア使いかと

言う。自分でもびっくりした。

まさか、本当に言葉が通じたの?

 

H10年8月20日

この頃PICOは早い早い。ぶんぶん飛び回る。

力尽きてカーテンにつかまり、ずるずると下へ落ちてしまった頃が嘘みたい。

 

H10年8月23日

かごから飛び出したあと、まずはカーテンレールに止まっていたPICOが最近、

フローリングの床をペタペタ歩くようになった。

どうしてだろう? ベランダの方へ歩いて行く。

すずめたちと遊びたいのかな。ベランダには、パンくずやお米で育てたすずめたちが

いて、PICOはちょうどそれを見降ろす格好で、毎日餌を食べているからね。

お友達になりたいの?

外へ出たらもう帰って来られないよ。

PICOは、別名「金糸雀」って言うんだね。

 

H10年 9月 1日

PICOが私の頭に乗ったあと、夫の頭にも飛び移る。

何かどこかで見たような光景?

そう。

夫の作品第一弾、CD-ROM「翼」の中の一コマ。

不思議なものね。

病気で看病するシーンも描いていた。

 

H10年 9月 2日

きょうは、8回目の結婚記念日。

PICOは、本当に天から授かった、私たちのこどものように思える。

日に日に可愛さが増してきて、PICOも私たちを親と思っているようだ。

PICOさえいれば、宝石も花も何の贈り物もいらない。

心からそう思う。

 

H10年 9月 5日

肩の上まで登って来て、しきりにあ〜んとお口をあける。

指から餌をあげると嫌がるから、口にビスケットのかけらを加え、

PICOの方を向いた。

羽根をこきざみにふるわせて、あっあっと鳴く。

くちびるから口移し。

ちょっと顔の方向を変えると、あ〜ん、まあだ〜というように、かっかっと

鳴いてちっちゃな首を精一杯伸ばす。

 

H10年 9月 7日

床を歩き回るPICO。

追いかけっこをするように、後ろからゆっくり、ぴーちゃ〜んと近づいて行くと、

上には飛ばず、床をとことこ逃げ回る。

ぴるぴるぴっぴっ。ほんとに楽しそうに逃げるね。

つかまえて仰向けにして、おなかをさすってあげると、気持ちよさそうに

じっとしている。あんよも撫でると、弱々しくにぎり返してきた。

PICOほんとにちっちゃいね。

 

H10年 9月 8日

鳥かごの横に鏡を置くと、きょとんとして、じっと見ている。

しばらくすると、PICOの頭がふくらんだ。

驚いた時とか、威嚇の時、動物は大きくふくらむのだ。

ティーティティ、トゥトゥトゥ、トゥルトゥルトゥル〜!!

のども一杯ふくらませ、大声で鳴く。

青菜を取られまいと足でしっかり押さえ、片方の足で鏡に蹴りをくらわせた。

勢い余って止まり木から落ちてしまったが、落ちた下でも鳴いている。

 

H10年 9月10日

最近ちょっとPICOの鳴き声が変わった。

前より赤ちゃんみたいに鳴くのだ。

ふつう、だんだんおとなの声になっていくはずなのに、明らかに甘えたこどもの

ような声を出す。

私と夫、どちらの姿も見えなくなると、んあっ、んあっと、頼りなげな、

寂しそうな声を出す。

行動もますます、甘えたになってきた。

目を合わすと、ぴゅーとこちらへはばたいて、くるくる顔のまわりを回ったり、

胸や腰にしがみついてきたりする。

お目目をぱっちりあけてこちらを見上げるその仕草は、

何だかカナリアとは思えない。

ぴーちゃん!と呼ぶと、青菜を食べていようが、水浴び後で、羽根がぬれて

いようが、こちらへ飛んでこようとする。

自分はぴーちゃんなんだという認識があるようだ。

 

H10年 9月15日

床の上を歩き回るPICO。

FAXの裏、本棚の裏と、なぜか狭い所に行きたがる。

追うと、余計に奥に逃げるので、ほうっておくと、しばらくして

ひょこっと顔を出し、ぴるると小声で鳴く。

かくれんぼしたいのかな。

 

H10年 9月16日

止まり木を少し太目のものに替えてあげた。

前のは細すぎて、よくステーンと足を踏み外していたからね。

腕に止まり、勢いをつけ次の目的地へジャンプする時、

腕に感じるPICOの重みが、とてもずっしりとするようになったのだ。

初め、PICOは太い止まり木に違和感を感じていたが、すぐに慣れ、

下の止まり木に、ダン!という音を立てて、飛び移る。

少し前は、トンという感じだったのにな。

身体つきもなんだか、筋肉質になってきて、まあるい「ひよこまんじゅう」

という雛の身体つきではなくなってきた。

でも、相変わらず、声は雛のよう。

可愛い声でぴるぴると鳴く。

 

H10年 9月20日

鳥かごの下に青菜の茎が落ちていて、それをPICOは、一生懸命

取ろうとしている。

古いものや、下に落ちた餌は食べなかったのに、どうしてかな?

くちばしに茎をくわえ、止まり木をうろうろしている。

床に落ちていた私の髪の毛をくわえていたこともある。

巣を作ろうとしているのだろうか。

ずっとこどものままでいてほしいのにな。

ちっちゃな頭に、いろんな遺伝子が組込まれているんだね。

 

 

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