「蝉」

 

ママが洗濯物を干そうとベランダに出たら、セミが仰向けに転がっていたんだよ。

かわいそうだと思ったママはパパを呼び、セミはしばらくパパの手の平の上にいた。

死んでいると思ったセミは足でパパの手を弱々しくつかんだんだって。

僕の方へ運ぶと、セミは渾身の力をふりしぼってパパの手から飛び出たよ。

カーテンにつかまっている姿が僕そっくりだとママは言ってた。

僕の鳴き声は、セミの鳴き声を真似たものかもしれないなんて事も言ってたなあ。

そしてママはパパに砂糖水を飲ませてあげてと言ったんだ。

飲んだ後、セミは元気が出て来たみたいだった。

地上では7日間しか生きられないので、ママはセミの命を1時間でも

長く延ばしてあげたかったらしい。 Luluの治療の事を思い出すね。

しばらくソファにしゃがんでいたセミは、窓から勢いよく飛んで行った…。

明日になれば多分もう生きてはいないけれど、

最後にもう一度命の灯が輝いて良かったね。

セミさん。 今度はカナリアに生まれておいでよ。

そして、僕と一緒に遊ぼうよ。

 

                  (H14.7.14)

 

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